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「タイガーマスク運動」についてあれこれ

 タイガーマスク(仮面の人)、全国的に大量発生


k 2011,1,15
(某お絵かき掲示板の「お題」が「仮面」だったので、時事ネタをからめて描いた絵)

私には児童養護施設に勤める友達と出身者の友達がいるのですが、”タイガーマスク運動”に対しては、複雑な思いがあるようです。
”タイガーマスク運動”×笑い男事件
k2 2011/1/14 (Fri.)

← 上の絵よりも先に描いた絵 (この時タイガーマスクがうまく描けなかったので、お題掲示板で再挑戦で描いた次第。)

”タイガーマスク運動”に対して、アニメ・攻殻機動隊スタンド・アローン・コンプレックスの「笑い男事件の「模倣者が続出した」というくだりを連想したのは私だけでしょうか。
タイガーマスク運動は見方を変えればある意味、模倣犯か、はたまた40年前のTVアニメによって入力された遅効性ワクチンの発症か。(すいませんっ!石を投げないでくださいっ!!)
 自分も子どもの時にTVのタイガーマスクを見て育った世代なので、「伊達直人」が見返りを求めない意味で仮面をつけて援助した人なのはよく知っている。だから少なくとも、最初に(昨年のクリスマス)前橋市の児童相談所にランドセルを贈ったタイガーマスク氏に対して悪いイメージなど持ち得るはずがない。


「良くも悪くも大量発生中」の「悪くも」の部分は、これがマツリの様相を呈したことで、2chの掲示板で「『伊達直人』じゃつまらないから○×(アニメやマンガのキャラ名)の名前で贈る」と予告があり、予告が実行されると、それが新聞やTVやネットのニュースなどで報道され証明され、まるでネットとリアルを連動させたイベントのよう。贈った人は匿名で自分のしたことが報道され脚光をあびる。自分に捜査の手が及ぶことはない。
 これはネットで「どこそこを爆破する」と犯罪を予告し、予告された場所で警官が右往左往するのを楽しむ愉快犯と表裏の位置にあるのではないか。また、「仮面」(名前と身元不明)なのも、「見返りを求めない」「名誉のためにやっているのではない」のが本来の理由だろうが、プレゼントを贈られる側と贈る自分の間に一定の距離を置きたいからという理由もないわけではないのではなかろうか。贈り主の自分に関わってもらいたくない、人と関わるのはめんどう、贈る側と贈られる側との関係性をつくるのまではイヤ、一回限りの、またはいつでもやめられる一過性の関係にしておきたいという理由で仮面をかぶる人もいるのではなかろうか。(>ここまで悪くよめるのは「仮面かぶる理由」を「自分なら」で考えたから。>他人を自分と一緒にするなとか言われそう。)
 あるいは児童養護施設の前にいつの間にか米俵がおかれてる。施設としては米俵を廃棄処分にする以外ないだろう。「ごんぎつね」の時代ではない。自宅の前に、誰だかわからない人が置いていった食べ物があったら、拾って有難く食べる家庭があるだろうか。少なくとも、自分が他人から預かっている子どもに、誰だかわからない人からもらった食べ物を与えるということはできない。米俵を置いていった人は昔の孤児院と勘違いしている。誤解がまかり通っている。差出人不明の米俵を施設の前に置いて廃棄されるくらいなら、フードバンクに寄付してもらいたい(実名で、消費期限内に)。

 しかし、「困っている人がいるなら何かしたい」と思う人がいたこと、きっかけを探していた人がこれを機に実行に移したのならそれは嬉しい。前年夏から孤独死が社会問題になり無縁社会という語彙が生まれ、不況で無駄な出費は控えようと思う人が多いときの明るいニュースでもある。「タイガーマスク運動」により、児童養護施設を「発見した」(不謹慎な言い方であることは承知のうえで)という10代、20代は多分多いはずで、それが社会的養護=セーフティネットのあり方についての関心まで深まることを願う。自由でもろい核家族に生息する子どもと大人にとっては決して他人事ではない話だから。

 施設でお金に困っていなくても、学習支援金でランドセルが買えるとしても、施設に在籍しながら小学校に入学する子どものランドセルは、税金で「支給させるもの」であるより、誰かから「贈られるもの」であるほうがよいと思う。しかしそれが毎年続くかどうか(幼児期から小学校入学まで養護施設で迎えること子どもの数自体が減ってほしいが)、「去年入学した子はランドセルをプレゼントされたのに、自分の時は誰も贈ってくれない」という子どもがいる年が今後ないとはいえないことが匿名のプレゼントの危うさだと思う。だから一過性ではなく続けてほしいし、実名で施設と関係を持つことをしてほしい。なにより贈った人自身が誰かから期待され必要とされ息災を祈られること(どこかの宗教みたいだな)は、贈った人自身が生きのびるための大変な糧になるはずだから。
  内部リンク
がんばれ?児童養護施設職員(再録) ■児童養護施設で暮らす子どもに里親家庭を ■付記 ある新人訪問者の誤解
ランドセルをアフガンに送るの記(ランドセルをアフガンに送った時の記録。これはリアルでもずいぶん話したが、「いいことだね」「ウチも子どものランドセルがあるから送りたい」という人は多数いたが、持ち出しボランティア=送料と輸送費の一部を自分で払わなければならない ということがわかると、みんな、ひいた。笑 )それに比べると「タイガーマスク運動」はすごい。児童養護施設を擬人化するなら、これはモテ期(良くも悪くも注目を浴びる時)なので、チャンスを生かさない手はない。チャンス、つまり社会的養護について広く知ってもらい考えてもらうチャンスだ。)



メモ


オタク脳ですという話よ




推理してみた。最初のタイガーさん。
50歳くらいでそこそこ収入があるが、周囲の同じ年頃の男性のように、子どもの学費や塾やお稽古事などの教育費にお金をつぎ込む必要がない。余裕がある。つまり奥さんも子どももいない。一人暮らしの独身貴族(古っ)だ。そんな自分にも、ランドセルを贈れる子どもたちがいることに、ふと、気がついて、勇気を出して贈ってみたんだきっと。現在、50歳の男性の2割弱が未婚独身だそうなので、あながちはずれてはいないのでは。

 メモ
「ランドセル届く 広がるタイガーマスクの善意(1月12日付・読売社説)」抜粋
− 昨年末から相次ぐ善意の寄付に、心温まる思いをした人も多かろう。贈り主の多くは、約40年前にヒットしたプロレス漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗っている。 各地の児童施設にランドセルや文房具、現金などのプレゼントが届けられている。発端は昨年(2010年)クリスマスの朝、前橋市にある児童相談所に、伊達直人名で新品のランドセル10個が届けられたことだった。それをニュースで知り、共感を覚えた人たちによって全国に広がったようだ -

■児童養護施設にランドセルなどを寄付する“タイガーマスク運動”の広がりを受け、全国児童養護施設協議会が、「児童養護施設へのご厚意にかかわるお礼とお願い」と題した文書を1月13日付けでWebサイトに掲載した。
児童養護施設へのご厚意にかかわるお礼とお願い全国児童養護施設協議会(公式サイト)
■虐待のある施設は多いんですか?浦島佐登志さんインタビュー >Fonte(フォンテ)のウェブサイト
http://www.futoko.org/special/special-12/page0316-412.html
■特定非営利活動法人 社会的養護の当事者参加推進団体の「日向ぼっこ」
http://hinatabokko2006.main.jp/
NPO「ブリッジフォースマイル」 児童養護施設から社会へ巣立つ子どもたちを支援している
3keys 児童養護施設でくらす子どもたちにボランティアで行う家庭教師・学習ボランティアの派遣を行っている。
■「しない善より する偽善」
 2chの折鶴スレで発生した言葉かなと思っていたが、「シニカルヒステリーアワー」(久保キリコ)がもっと先のよう。



メモ
児童養護施設では生活物資や食糧や学用品は足りているはず、でもまさか、もしかして足りていないのかいないのか?という疑問と答
私は以前から、いまどき、どこの児童養護施設でも日常の食糧や備品は足りてる(はずだ)と職員をしている知人から聞いていた。
が、数年前に日本でもフードバンクが設立し活動してるというニュースを見たときに、援助先に児童養護施設が上がっていたのが、ひっかかっていた。
(注 誤解されやすいが、フードバンク諸団体では賞味期限の切れた食品は受け付けてない。いわゆるスーパーやコンビニの売れ残り弁当を回収してまわっているわけではない。詳しくはセカンドハーベストジャパン  フードバンク関西 )

 タイガーマスク現象の際に検索してよく見てまわったところ、セカンドハーベストジャパンでも、フードバンク関西でも、フードバンクからの援助先の団体の一つとして、児童養護施設があげられている。フードバンクの援助先は単身者家庭や生活困窮者などさまざまだが、援助先の団体の施設のリストを閲覧できるところもある。そのなかに確かに児童養護施設の名前がいくつかあがっている。 駅前フィットネスクラブのチェーンのカーブスもフードバンク活動を行っている旨をチラシで見たことがあるのでネットで探してみると、その援助先の一つとして児童養護施設があがっていたので、こういったところから「養護施設では食糧が足りてない」と思う方々もいるのではなかろうか。
 
日常の食糧が足りてるのか足りてないのか?足りてるはずでは、いや、園により違うのかΣ(゚Д゚;≡;゚д゚) > と知人に聞いてみた。

すると、食費は園の人数分で計上されているのではなく、被服費や児童への小遣いや食費ほかを含めた生活費として予算を組まれていて、生活費の内訳は園の裁量にまかされているので、園によっては、定期的な食料の寄付を受け付けて、食費の割合を抑えたその分、別の費用の割合を大きくしたり、進学や就学支度金などに足すのが可能なのだそうだ(あくまでも自分の聞いた範囲)。要は園の方針で、フードバンクからの食糧援助を受けている施設もあるということだ。

 児童養護施設の職員の知人いわく。モノよりも人(子どもの生活の面倒を見る職員)が足りないと、声を大にして言いたい、と。

 お歳暮やお中元その他で家庭内に余剰食糧が出た場合に、生活に困っている人への援助として、フードバンクなどに寄付する途もある。
■ お下がりの類を送ることについて
以前、未開封だが箱がゆがんでる粉ミルクのケースといったものを乳児院などに贈っていいかという質問が掲示板にあったが、それに対して「自分が贈られる身になって『箱がゆがんでる粉ミルク』を受け取りたいかどうか考えなさい」と暗に批判するコメントがあったが、自分がもらうなら、箱がゆがんでいても未開封ならOKだ。「乳児院でも方針により受け付けているところがあるので、聞いてから送ればよい」と書き込んでおいた。
自分も育児中、友人から沢山の乳幼児衣類備品のお下がりをもらい、育児後、まだ使えるものはまた別の友人に送った。お下がりなど人に送るべきではないという意見もあるだろうが、乳幼児用品には消耗品や、毎年成長するので1シーズンで不要になるものがあったり、多めに紙オムツをストックしていたらトイレを覚えて不要になってしまったといったことがある。だから使えるものなら使って活かしてほしいという感覚であり、「ほどこす」という感じではない。有難迷惑にならないように気をつけるのは言うまでもない。2011/05/02追記

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