遺伝子組み換え食品について
私は10年以上前に、生活クラブ生協で学習したことがあったので(遺伝子組み換え食品に反対運動している生協である以上、それについての組合員向けの学習会などあり、通っていた) 「動的平衡」のその部分は自分にとって復習だった。
その時学んだ遺伝子の発現に対する検証方法というのは、たとえば、ある赤い花の遺伝子A,B,C,D・・・それぞれどんな働きを司るかは、A,B,C・・・それぞれの遺伝子をノックアウトした(つぶした)遺伝情報で個々に花をさかせ、Cをつぶした遺伝情報で赤い色が出現しなければ、Cは赤を司る遺伝子だと判断する…というふうに学んだ。
「動的平衡」によると、その方法は今も変わらないのだった。福岡氏が実際にそうやってある遺伝情報をなくしてつくったマウスでは、そう単純には「結果」が出なかったようで、それは植物と動物の違いなのだろうか。
アリの世界では、働きアリと働かないで遊んでいるアリが一定の割合で存在し、そこから働いてるアリ(または働かないアリ)だけをとりのぞいてしまうと、残っていた遊んでいるアリの一部が働きアリに変化し、(逆の場合は働きアリの一部が働かないアリに変化して)働くアリと遊ぶアリの割合が再び同じにになることが知られている。
蜜蜂の世界でも、蜜を運ぶ役割のハチだけ巣から取り去ると、まだ飛べないハチの一部が飛ぶようになったり既に飛ぶ役割を終えたハチの一部が飛ぶ役目に戻るようなところがあるそうだ。
「獣の奏者」と「西の善き魔女」でもミツバチの社会と人の世界を対比させたり模したりしているので、以前にもそういうハチ社会を解説する本を面白く読んだことがあるが、
ミクロの遺伝子単位の中でも、そうやって、いなくなった遺伝子を補って発現させる働きがあるのだろうかと思わせる。
「動的平衡」じゃ、ここ100年くらいの遺伝子やウィルスについての発見から、福岡氏によって再発見された(と私にとって思える)生命観=「動的な平衡」、最近の研究まで、面白く読めた。
(遺伝子組み換え食品について反対する理論的根拠としても読める) |